1,相続とは
被相続人が亡くなることにより,被相続人の権利義務を相続人が承継することを相続と言います。
一般的には,財産(遺産)を受け継ぐというイメージがありますが,財産だけでなく借金等負の財産も受け継ぐことになります。
また,被相続人に帰属していた権利(一部の権利は除きます)も受け継ぐことになります。
相続の効果は死亡と同時に発生しますので,被相続人が亡くなった瞬間に,財産は相続人に移転することになります(名義変更の手続は必要ですが)。
一般的には,財産(遺産)を受け継ぐというイメージがありますが,財産だけでなく借金等負の財産も受け継ぐことになります。
また,被相続人に帰属していた権利(一部の権利は除きます)も受け継ぐことになります。
相続の効果は死亡と同時に発生しますので,被相続人が亡くなった瞬間に,財産は相続人に移転することになります(名義変更の手続は必要ですが)。
2,法定相続
(1)法定相続人
相続人は,被相続人が遺言で具体的に指定しない限り,法律で定められた法定相続人が相続人となります。
まず,配偶者(夫,妻)がいる場合,配偶者は法定相続人となります。
それ以外の法定相続人は法律上,順位が決まっており,
直系卑属がいる場合には,配偶者と直系卑属のみが相続人となり,直系尊属,兄弟姉妹は相続人となりません。
直系卑属がいない場合には,配偶者と直系尊属が相続人となり,兄弟姉妹は相続人とはなりません。
直系卑属も直系尊属もいない場合にはじめて兄弟姉妹が相続人となります。
ちなみに,代襲相続という制度があり,兄弟姉妹の子も相続人となることができますが,それらの法定相続人も一切いない場合には,被相続人の特別縁故者(内妻や長期介護者等)に分与される場合もありますが,最終的に国庫(国の財産)に帰属することになります。
(2)相続割合
相続人は,被相続人が遺言で具体的に指定しない限り,法律で定められた法定相続人が相続人となります。
まず,配偶者(夫,妻)がいる場合,配偶者は法定相続人となります。
それ以外の法定相続人は法律上,順位が決まっており,
① 直系卑属(子,孫,ひ孫・・・)
② 直系尊属(両親,祖父母・・・)
③ 兄弟姉妹
の順番となります。
② 直系尊属(両親,祖父母・・・)
③ 兄弟姉妹
の順番となります。
直系卑属がいない場合には,配偶者と直系尊属が相続人となり,兄弟姉妹は相続人とはなりません。
直系卑属も直系尊属もいない場合にはじめて兄弟姉妹が相続人となります。
ちなみに,代襲相続という制度があり,兄弟姉妹の子も相続人となることができますが,それらの法定相続人も一切いない場合には,被相続人の特別縁故者(内妻や長期介護者等)に分与される場合もありますが,最終的に国庫(国の財産)に帰属することになります。
(2)相続割合
① 法定相続割合
法定相続人が相続人となる場合の相続割合も法律上決まっています。
まず,配偶者と①直系卑属が相続人の場合には,配偶者が2分の1,残りの2分の1を直系卑属でわけあうことになります。
例えば,子どもが3人いた場合,配偶者が2分の1で,残りの2分の1を3人で分け合うことになるので,子どもたちの相続分は6分の1ずつとなります。
配偶者と②直系尊属が相続人の場合は,配偶者が3分の2,直系尊属が残りの3分の1となります。
そして,配偶者と③兄弟姉妹の場合は,配偶者が4分の3,兄弟姉妹が残りの4分の1となります。
なお,同順位の相続人の法定相続分は基本的に同一ですが,兄弟姉妹で,片親のみが同一の場合(腹違いの兄弟等)は,相続分も半分となります。
② 特別受益
特別受益とは,相続人の一人が,被相続人の生前に,特別の利益を受けていた場合に,相続の前渡しと評価し,相続人間の公平を図る制度です。
1人だけ大学に行かせてもらい,学費を援助してもらったとか,自宅を購入する際の頭金を援助してもらったといった場合に問題となります。
法定相続人が相続人となる場合の相続割合も法律上決まっています。
まず,配偶者と①直系卑属が相続人の場合には,配偶者が2分の1,残りの2分の1を直系卑属でわけあうことになります。
例えば,子どもが3人いた場合,配偶者が2分の1で,残りの2分の1を3人で分け合うことになるので,子どもたちの相続分は6分の1ずつとなります。
配偶者と②直系尊属が相続人の場合は,配偶者が3分の2,直系尊属が残りの3分の1となります。
そして,配偶者と③兄弟姉妹の場合は,配偶者が4分の3,兄弟姉妹が残りの4分の1となります。
なお,同順位の相続人の法定相続分は基本的に同一ですが,兄弟姉妹で,片親のみが同一の場合(腹違いの兄弟等)は,相続分も半分となります。
② 特別受益
特別受益とは,相続人の一人が,被相続人の生前に,特別の利益を受けていた場合に,相続の前渡しと評価し,相続人間の公平を図る制度です。
1人だけ大学に行かせてもらい,学費を援助してもらったとか,自宅を購入する際の頭金を援助してもらったといった場合に問題となります。
(例) 相続人は子2人(AとB),相続財産は5000万円。
Aは,自宅の頭金1000万円を生前,援助してもらっている場合。
A (5000万+1000万)÷2-1000万=2000万円
B (5000万+1000万)÷2- 0=3000万円
となります。
Aは,自宅の頭金1000万円を生前,援助してもらっている場合。
A (5000万+1000万)÷2-1000万=2000万円
B (5000万+1000万)÷2- 0=3000万円
となります。
③ 寄与分
寄与分とは,特別受益とは反対に,相続人の一人が,被相続人の生前に,被相続人の財産維持に貢献(寄与)した場合に,相続人間の公平を図る制度です。
被相続人の療養看護や介護に努めた結果,介護費用等の支出が抑えられたとか,被相続人の事業を手伝ったが相当の給料をもらっていなかったといった場合に問題となります。
寄与分とは,特別受益とは反対に,相続人の一人が,被相続人の生前に,被相続人の財産維持に貢献(寄与)した場合に,相続人間の公平を図る制度です。
被相続人の療養看護や介護に努めた結果,介護費用等の支出が抑えられたとか,被相続人の事業を手伝ったが相当の給料をもらっていなかったといった場合に問題となります。
(例) 相続人は子2人(AとB),相続財産は5000万円。
Aが,被相続人の介護を行い,介護費用等の出費を1000万円抑えられた場合。
A (5000万-1000万)÷2+1000万=3000万円
B (5000万-1000万)÷2- 0=2000万円
となります。
Aが,被相続人の介護を行い,介護費用等の出費を1000万円抑えられた場合。
A (5000万-1000万)÷2+1000万=3000万円
B (5000万-1000万)÷2- 0=2000万円
となります。
3,遺言
(1)遺言とは
遺言とは,遺言者が生前に自分の意思によって,自由に財産(遺産)を処分することができるものです。
法定相続人以外に相続させることもできますし(遺贈といいます),法定相続の割合と異なる割合を指定したり,特定の財産を指定する相続人に相続させたりすることもできます。
(2)遺言書とは
遺言は遺言書という書面によって行う必要があります。口頭での遺言は,録音したりしていても無効です。遺言書については「文書作成」の項の遺言書に関する説明をご参照ください。
(3)検認とは
遺言書の記載内容等を,相続人の立ち会いのもと,家庭裁判所にて確認する手続です。
これは,遺言書の存在を確認し,偽造等を防止するために行う手続です。
公正証書遺言の場合には不要ですが,自筆証書遺言や秘密証書遺言を保管もしくは発見した相続人は,速やかに家庭裁判所に検認の手続を申し立てる必要があります。
秘密証書遺言については,家庭裁判所における検認の手続において,相続人の立ち会いのもとで開封する必要があります。相続人の一人が勝手に開けてしまうと,過料(5万円以下)の制裁を受ける可能性がありますのでご注意ください。
なお,検認とは,遺言書の存在とその形式・記載内容等を確認する手続であり,遺言が有効であることを確認する手続ではありませんので,検認を経た遺言書が遺言無効確認訴訟等で無効と判断される場合もあります。
(4)遺言執行者とは
相続人の代理人として,遺言の内容を具体的に実現する手続を行います。
相続財産が多くて複雑な場合や,相続人間の対立等がある場合には,専門家たる第三者に遺言の執行を依頼することにより,相続手続が円滑に進むことになります。
通常は,被相続人が遺言書の中で,遺言執行者を指定しますが,利害関係人の申出により,家庭裁判所が選任する場合もあります。
遺言とは,遺言者が生前に自分の意思によって,自由に財産(遺産)を処分することができるものです。
法定相続人以外に相続させることもできますし(遺贈といいます),法定相続の割合と異なる割合を指定したり,特定の財産を指定する相続人に相続させたりすることもできます。
(2)遺言書とは
遺言は遺言書という書面によって行う必要があります。口頭での遺言は,録音したりしていても無効です。遺言書については「文書作成」の項の遺言書に関する説明をご参照ください。
(3)検認とは
遺言書の記載内容等を,相続人の立ち会いのもと,家庭裁判所にて確認する手続です。
これは,遺言書の存在を確認し,偽造等を防止するために行う手続です。
公正証書遺言の場合には不要ですが,自筆証書遺言や秘密証書遺言を保管もしくは発見した相続人は,速やかに家庭裁判所に検認の手続を申し立てる必要があります。
秘密証書遺言については,家庭裁判所における検認の手続において,相続人の立ち会いのもとで開封する必要があります。相続人の一人が勝手に開けてしまうと,過料(5万円以下)の制裁を受ける可能性がありますのでご注意ください。
なお,検認とは,遺言書の存在とその形式・記載内容等を確認する手続であり,遺言が有効であることを確認する手続ではありませんので,検認を経た遺言書が遺言無効確認訴訟等で無効と判断される場合もあります。
(4)遺言執行者とは
相続人の代理人として,遺言の内容を具体的に実現する手続を行います。
相続財産が多くて複雑な場合や,相続人間の対立等がある場合には,専門家たる第三者に遺言の執行を依頼することにより,相続手続が円滑に進むことになります。
通常は,被相続人が遺言書の中で,遺言執行者を指定しますが,利害関係人の申出により,家庭裁判所が選任する場合もあります。
4,遺産分割
(1)遺産分割とは
遺産分割とは,遺産の共有状態を解消して,個々の財産を各相続人に分配し取得させる手続のことを言います。
相続の効果は,死亡と同時に発生するので,相続人が複数いる場合,死亡と同時に,遺産は相続人の共有となります。
現金や預貯金等,分割しやすい財産は問題ないのですが,建物等をまっぷたつに分割するわけにはいきません。建物の場合には,相続が発生することにより,1つの建物を相続人全員で共有することになります。
しかし,建物を複数の相続人で共有したままの状態ですと,誰が建物を使用するか,けんかとなりますし,建物を売却したりする際にも共有者である相続人全員の同意が必要となってきます。
そこで,共有状態を解消するため,相続人間で行う手続が遺産分割の手続となります。
(2)遺産分割手続
① 遺産分割協議
遺産分割手続は,相続財産をどのように分配するかを決定する手続ですので,まずは相続人全員の話し合いにより,分割方法を決定します。
協議がまとまれば,遺産分割協議書を作成するのですが,遺産分割協議書は相続人全員が署名押印しない限りは無効です。
相続人を一人でも除外してしまうと,他の相続人全員が納得していても無効となります。
なお,相続人全員が納得するのならば,遺言で定められた分割方法と異なる方法で分割することもできます(被相続人の意思よりも,相続人全員の協議内容が優先されます)。
② 遺産分割調停
相続人間で話し合っても,分割方法が決まらない場合には,家庭裁判所での調停手続により,調停委員を交えての話し合いで決めることになります。
相続人全員が調停委員の提示した調停案に納得した場合には,調停により遺産分割することができます。
③ 遺産分割審判 調停もあくまで話し合いであり,全員が納得しない限り解決しませんので,その場合には,審判手続により,裁判所に分割方法を決定してもらうことになります。
裁判所は,各相続人から出された証拠資料等を基に,分割方法を決定することになります。
(3)分割方法
財産の分割方法は,大きくわけて3つの方法が考えられます。
なお,これは遺産分割に限らず,共有状態を解消する「共有物分割の手続」の際にも用いられます。
① 現物分割
単純に,遺産を相続人の数で均等割して分配する方法です。
現金,預貯金等,分割可能な財産の場合には問題ないですが,建物や土地等の分割方法としては不向きです。
② 価格賠償分割
相続人の一人が遺産となる不動産等を全部取得し,代わりに他の相続人に持ち分相当の金員を支払うことにより分割する方法です。
現物(被相続人の居住していた自宅等)の取得を希望する相続人がおり,かつ,その相続人が持ち分相当の金員を支払うだけの財力がある場合に可能な方法です。
③ 換価分割
相続財産を現金化して分割する方法です。
自宅等を売却し,売却によって得た現金を分割する方法です。
どの分割方法によるかも相続人間の話し合いで決定しますが,まとまらない場合には裁判所で判断してもらうことになります。
遺産分割とは,遺産の共有状態を解消して,個々の財産を各相続人に分配し取得させる手続のことを言います。
相続の効果は,死亡と同時に発生するので,相続人が複数いる場合,死亡と同時に,遺産は相続人の共有となります。
現金や預貯金等,分割しやすい財産は問題ないのですが,建物等をまっぷたつに分割するわけにはいきません。建物の場合には,相続が発生することにより,1つの建物を相続人全員で共有することになります。
しかし,建物を複数の相続人で共有したままの状態ですと,誰が建物を使用するか,けんかとなりますし,建物を売却したりする際にも共有者である相続人全員の同意が必要となってきます。
そこで,共有状態を解消するため,相続人間で行う手続が遺産分割の手続となります。
(2)遺産分割手続
① 遺産分割協議
遺産分割手続は,相続財産をどのように分配するかを決定する手続ですので,まずは相続人全員の話し合いにより,分割方法を決定します。
協議がまとまれば,遺産分割協議書を作成するのですが,遺産分割協議書は相続人全員が署名押印しない限りは無効です。
相続人を一人でも除外してしまうと,他の相続人全員が納得していても無効となります。
なお,相続人全員が納得するのならば,遺言で定められた分割方法と異なる方法で分割することもできます(被相続人の意思よりも,相続人全員の協議内容が優先されます)。
② 遺産分割調停
相続人間で話し合っても,分割方法が決まらない場合には,家庭裁判所での調停手続により,調停委員を交えての話し合いで決めることになります。
相続人全員が調停委員の提示した調停案に納得した場合には,調停により遺産分割することができます。
③ 遺産分割審判 調停もあくまで話し合いであり,全員が納得しない限り解決しませんので,その場合には,審判手続により,裁判所に分割方法を決定してもらうことになります。
裁判所は,各相続人から出された証拠資料等を基に,分割方法を決定することになります。
(3)分割方法
財産の分割方法は,大きくわけて3つの方法が考えられます。
なお,これは遺産分割に限らず,共有状態を解消する「共有物分割の手続」の際にも用いられます。
① 現物分割
単純に,遺産を相続人の数で均等割して分配する方法です。
現金,預貯金等,分割可能な財産の場合には問題ないですが,建物や土地等の分割方法としては不向きです。
② 価格賠償分割
相続人の一人が遺産となる不動産等を全部取得し,代わりに他の相続人に持ち分相当の金員を支払うことにより分割する方法です。
現物(被相続人の居住していた自宅等)の取得を希望する相続人がおり,かつ,その相続人が持ち分相当の金員を支払うだけの財力がある場合に可能な方法です。
③ 換価分割
相続財産を現金化して分割する方法です。
自宅等を売却し,売却によって得た現金を分割する方法です。
どの分割方法によるかも相続人間の話し合いで決定しますが,まとまらない場合には裁判所で判断してもらうことになります。
5,相続放棄
(1)相続放棄とは
相続人が相続する権利を放棄する手続です。
相続は,財産だけでなく,借金等負の遺産も受け継ぐことになります。
被相続人の死亡と同時に相続が発生するので,被相続人が多額の借金を背負ったまま死亡した場合,死亡と同時に相続人は多額の借金を受け継ぐこととなってしまいます。
そこで,そのような場合に,負の遺産を相続することを避けるため,相続放棄をする必要があるのです。
(2)相続放棄の手続
家庭裁判所に相続放棄をする旨の申述を行います。
必要書類をそろえて家庭裁判所に相続放棄申述書を提出し,受理されることにより,相続放棄が認められます。
相続放棄が認められると,相続時(被相続人の死亡時)に遡って効果が認められるので,最初から借金を受け継がなかったことになります。
(3)相続放棄の期間
自分が相続人となったことを知ったとき(被相続人が死亡したこと及び自分が相続人であり,相続する財産や負債があることを知ったとき)から3カ月以内に行う必要があります。
「被相続人に借金があることを知らず,放置していたら半年後に債権者から多額の請求書が届いたと」いうような場合でも,債権者からの請求書を受け取ってから3カ月以内に行えば,相続放棄することは可能です。
したがって,「死亡時から3カ月を過ぎれば相続放棄できない」というわけではありませんが,被相続人の借金の有無がわからず不安な場合には,早めに相続放棄の手続をとることをおすすめ致します。
(4)相続放棄の注意点
相続放棄は,負の遺産だけでなく,財産の相続も放棄しますので,預金が5000万円あり,借金が1億円あるような場合は,預金の5000万円も放棄し,受け取ることができません。
万が一,預金に手をつけてしまうと,相続することを承認したとみなされ,相続放棄が認められず,借金の1億円についても相続することになってしまいます。
したがって,相続放棄するか否か,判断に迷う場合には,被相続人の財産を処分したりしないようにしましょう。
(5)相続放棄の効果
相続放棄が認められると,相続時に遡って相続人ではなくなるので,その相続人がいないものとして相続がすすむこととなります。
例えば,相続人として子が2人おり,借金が1000万円あった場合,通常なら500万円ずつ借金を相続することになりますが,1人が相続放棄すると,もう1人の子が1000万円の借金を相続することになります。
また,もう1人の子も相続放棄すると,直系卑属がいなくなるので,直系尊属が相続人となり,被相続人の父母が借金1000万円を相続することになります。
したがって,多額の借金があるような場合には,被相続人の配偶者や子が相続放棄をし,手続が完了すると,被相続人の両親が相続放棄をし(存命ならば祖父母も放棄する必要があります),それから兄弟姉妹が相続放棄をしないといけません。
この場合も,「相続人となったことを知った時」から3カ月以内ですので,両親は,「死亡時」からではなく,「子が全員相続放棄をしたことを知った時」から3カ月以内に相続放棄の手続を行うことになります。
なお,孫等が相続人となるのは,被相続人よりも先に子が死亡している場合(祖父よりも父が先に死亡しているような場合)ですので,被相続人(祖父)が死亡し,子(父)が相続人となって相続放棄をした場合は,孫は相続人となりませんので,相続放棄をする必要はありません。
相続人が相続する権利を放棄する手続です。
相続は,財産だけでなく,借金等負の遺産も受け継ぐことになります。
被相続人の死亡と同時に相続が発生するので,被相続人が多額の借金を背負ったまま死亡した場合,死亡と同時に相続人は多額の借金を受け継ぐこととなってしまいます。
そこで,そのような場合に,負の遺産を相続することを避けるため,相続放棄をする必要があるのです。
(2)相続放棄の手続
家庭裁判所に相続放棄をする旨の申述を行います。
必要書類をそろえて家庭裁判所に相続放棄申述書を提出し,受理されることにより,相続放棄が認められます。
相続放棄が認められると,相続時(被相続人の死亡時)に遡って効果が認められるので,最初から借金を受け継がなかったことになります。
(3)相続放棄の期間
自分が相続人となったことを知ったとき(被相続人が死亡したこと及び自分が相続人であり,相続する財産や負債があることを知ったとき)から3カ月以内に行う必要があります。
「被相続人に借金があることを知らず,放置していたら半年後に債権者から多額の請求書が届いたと」いうような場合でも,債権者からの請求書を受け取ってから3カ月以内に行えば,相続放棄することは可能です。
したがって,「死亡時から3カ月を過ぎれば相続放棄できない」というわけではありませんが,被相続人の借金の有無がわからず不安な場合には,早めに相続放棄の手続をとることをおすすめ致します。
(4)相続放棄の注意点
相続放棄は,負の遺産だけでなく,財産の相続も放棄しますので,預金が5000万円あり,借金が1億円あるような場合は,預金の5000万円も放棄し,受け取ることができません。
万が一,預金に手をつけてしまうと,相続することを承認したとみなされ,相続放棄が認められず,借金の1億円についても相続することになってしまいます。
したがって,相続放棄するか否か,判断に迷う場合には,被相続人の財産を処分したりしないようにしましょう。
(5)相続放棄の効果
相続放棄が認められると,相続時に遡って相続人ではなくなるので,その相続人がいないものとして相続がすすむこととなります。
例えば,相続人として子が2人おり,借金が1000万円あった場合,通常なら500万円ずつ借金を相続することになりますが,1人が相続放棄すると,もう1人の子が1000万円の借金を相続することになります。
また,もう1人の子も相続放棄すると,直系卑属がいなくなるので,直系尊属が相続人となり,被相続人の父母が借金1000万円を相続することになります。
したがって,多額の借金があるような場合には,被相続人の配偶者や子が相続放棄をし,手続が完了すると,被相続人の両親が相続放棄をし(存命ならば祖父母も放棄する必要があります),それから兄弟姉妹が相続放棄をしないといけません。
この場合も,「相続人となったことを知った時」から3カ月以内ですので,両親は,「死亡時」からではなく,「子が全員相続放棄をしたことを知った時」から3カ月以内に相続放棄の手続を行うことになります。
なお,孫等が相続人となるのは,被相続人よりも先に子が死亡している場合(祖父よりも父が先に死亡しているような場合)ですので,被相続人(祖父)が死亡し,子(父)が相続人となって相続放棄をした場合は,孫は相続人となりませんので,相続放棄をする必要はありません。
6,遺留分
(1)遺留分とは
遺留分とは,遺言の内容に反してでも最低限相続できる財産のことです。
基本的には遺言書に記載された分割方法が優先されますが,遺留分が認められている相続人は,遺言の内容に反していても財産を相続する権利があります。
法定相続人のうち,兄弟姉妹以外の相続人に認められています。
認められる遺留分の割合は,配偶者と直系卑属については2分の1,直系尊属については3分の1となります。
上の例で,被相続人の遺産が1000万円だった場合,遺留分は2分の1の500万円となり,子2人で分け合った場合,半分ずつとなるので,Aの遺留分250万円,Bの遺留分も250万円となります。
従って,上の例では
遺言に従えば, A 1000万円,B 0円
遺留分を請求すれば A 750万円,B 250万円
となります。
(3)遺留分減殺請求
遺言により遺留分を侵害された相続人(B)が,侵害部分を遺言により相続する相続人(A)に対して,遺留分減殺請求権を行使することによって行います。
遺留分減殺権を行使するとの意思表示は,「相続の開始及び遺留分を侵害されていることを知った時」から1年以内に行使する必要があります。
1年以内に,「遺留分減殺請求権を行使する」との意思表示(内容証明郵便等で送る)をしておけば,具体的な金額の請求(上の例では250万円)は1年経過後であっても有効です。
>相続の費用についてはこちら
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遺留分とは,遺言の内容に反してでも最低限相続できる財産のことです。
基本的には遺言書に記載された分割方法が優先されますが,遺留分が認められている相続人は,遺言の内容に反していても財産を相続する権利があります。
(例)
被相続人に子が2人(AとB)いるが,1人の子(A)に「全財産を相続させる」との遺言がある場合,遺言に従えば,もう1人の子(B)は何も受け取ることができません。
しかし,遺留分を請求(遺留分減殺請求といいます)することにより,一定の財産を受け取ることができるのです。
(2)遺留分権利者被相続人に子が2人(AとB)いるが,1人の子(A)に「全財産を相続させる」との遺言がある場合,遺言に従えば,もう1人の子(B)は何も受け取ることができません。
しかし,遺留分を請求(遺留分減殺請求といいます)することにより,一定の財産を受け取ることができるのです。
法定相続人のうち,兄弟姉妹以外の相続人に認められています。
認められる遺留分の割合は,配偶者と直系卑属については2分の1,直系尊属については3分の1となります。
上の例で,被相続人の遺産が1000万円だった場合,遺留分は2分の1の500万円となり,子2人で分け合った場合,半分ずつとなるので,Aの遺留分250万円,Bの遺留分も250万円となります。
従って,上の例では
遺言に従えば, A 1000万円,B 0円
遺留分を請求すれば A 750万円,B 250万円
となります。
(3)遺留分減殺請求
遺言により遺留分を侵害された相続人(B)が,侵害部分を遺言により相続する相続人(A)に対して,遺留分減殺請求権を行使することによって行います。
遺留分減殺権を行使するとの意思表示は,「相続の開始及び遺留分を侵害されていることを知った時」から1年以内に行使する必要があります。
1年以内に,「遺留分減殺請求権を行使する」との意思表示(内容証明郵便等で送る)をしておけば,具体的な金額の請求(上の例では250万円)は1年経過後であっても有効です。
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